南原繁『国家と宗教』2

 今回は、南原繁『国家と宗教──ヨーロッパ精神史の研究』の補論「カトリシズムとプロテスタンティズム」の「二」です。
 ポイントは、南原の精神史研究の方法論に関わる冒頭の議論(石原との違いも含めて)と、なぜ注目するのが、プラトンであって、アリストテレスでないかについての南原の説明です(両者の相違が強調される)。その理由は、キリスト教との関係ということになります。


「時代または国民の偉大な個性」、「歴史は」「個性の世界」(338)
「優れた思想家のうちの極めて典型的な若干」「どこまでも文化哲学的関心から、イデオロギーや理念に関連して、原理的問題として」
「極めて典型的な思想体系を中心とした」(339)
「そこにはおのおのの思想体系をその構成要素について分解し、さらにそれらの体系をば相互に全体の発展の中に関連づけることによって、それら各時代の世界観ないし時代精神がいずれも、国家と宗教の問題をめぐって、それぞれ異なる方法と体系において解決しようとしたか・・・著者の目的」
「かような問題の立て方と研究方法について」「田中教授は」「是認せられる」
「音楽の比喩によって」「それぞれの時代の各思想体系の演奏する交響楽の多様なヴァリアチオンの中から、そこに繰り返される数個のテーマと、さらにそれを貫く不変の一つのライトモチーフを読み取ろうとする」(340)
「この点において石原博士」「モノグラフィッシュな方法」「教会史的事実を根拠として」
「各思想体系の分析とそれら相互の関係の吟味によるヨーロッパ精神の「思想系譜」的研究」(341)

「プラトンを選び、アリストテレスを特に取り上げないことについて」「理由」
プラトンもアリストテラスも「その哲学あるいは形而上学の根本性格とおいて別異なるものがある」、「プラトンが経験的存在を超出してイデアの世界へ」「アリストテレスはあくまで経験的事実に根拠して、それに内在する論理的連関をたどろうする」
「国家論ないし政治学において」「プラトンの優れて理想主義=当為的なのに対して、アリストテレスの現実的・存在論的性格」(342)
「アリストテレス」「ギリシャの歴史的発展における現実諸国家の研究とそれを支配する法則の抽出とそれによる合理的説明」「プラトン的精神が希薄化し、内面性が色褪せている」
「著者は」「アリストテレスを低く見ず、やはりプラトンを継承発展したものとして」「共通のギリシャ的なものを認めるが、宗教と神の国を問題とするかぎり、両者には比較を絶するものがあると思うのである」「埋めがたい溝渠が横たわる」
「後のキリスト教との精神的連関を考慮におくとき、特にプラトンを取ってギリシャ主義を表微せしめるのに適当かつ十分と考える」
「中世がまずプラトンを迎え入れ、アウグスティヌスのように、彼をもって古代哲学のうちに真に神の座を有する唯一の哲学として、これに接近した所以も了解し得られるであろう」(343)
「中世後期においてアリストテレスが迎えられ、トーマス等スコラ哲学の支柱をせられるにいたった所以は」「彼の一元的形而上学の方法が、キリスト教的一神論およびその世界観の体系化に対して、有力な理論的武器を供したためと」「自然や社会の諸科学につき彼の該博な知識と正確な概念規定が「知ある人の教師」(ダンテ)の役目をしたためにほかならない」
「近世プロテスタント主義の上に立ってのヘーゲル哲学の形成においても同様」
「過去の成果を集大成して秩序と組織を与え、体系的整理をなすときには、常にアリストテレスの形而上学ないし論理学が重要な契機を構成して来たのであって、その精神的内実において決してプラトンのごとき内面性の興味と高い宗教的理念を有するがためではない」(344)
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