南原繁『国家と宗教』3

今回は、南原繁『国家と宗教──ヨーロッパ精神史の研究』の補論「カトリシズムとプロテスタンティズム」の「三」です。
 ポイントは、カントを政治哲学として社解釈することですが、これは、『国家と宗教』自体の土台のであり、ここから、プラトンが解釈されています。そして、これが宗教改革、ルターに関連付けられることが、もう一つのポイントです。

「三」
「著者の関心」「アリストテレスではなくしてプラトンに、さらにトーマスではなくしてカントにと凝集せられてゆくこと」(344)
「カントこそ初めて中世的世界観を根底から打破した人」「中世的リアリズムに対する根本的抗議」「中世に対して、近世ルネッサンスと宗教改革の精神とを綜合」「新たに近世自然科学的認識の根拠に立脚して」
「中世にあっては、自然はそれみずからに固有の真理性をもつのではなく、常に自然をして自然たらしめる超自然的神的秩序の下位に従属せしまて考えられた」
「ルネッサンスにおいて自然の新たなる発見」「これに則って啓蒙の諸家の形而上学体系が立てられた」
「「現象」の世界」「「物自体」」(345)
「自由の「人格」の世界を開いた」、「客観的な自然科学的真理概念とともに、実にこの自由の道徳的人格の観念」
「中世の神学的倫理においては宗教的権威に人間存在の基礎があり、個人は全体の中に置かれたおのおのの次序と位置にしたがってその存在が規定せられた」
「自然的存在者としての人間としてでなく、内面的な人格」「道徳的法則に根拠する意志の自由の主体として」「「自律性」」
「ルッターの思想の継承、その哲学的形成」「ルッターにあってはただ「神」に信頼し服従するところに自由が存したのであるが、カントにおいては実践理性の「義務」の法則を畏敬し遵守するときに自由が成り立つ」(346)
「両者ともに自律の根底を人間個人の「心情」に求めることは同様」「道徳的自由の「人格」の哲学」
「カントをもって「個人主義」世界観の範疇に属すと見るのは」「従来しばしば法律哲学者のとり来たった解釈」「著者はそれにあき足らないで、ひとり法律哲学に限らず、彼の全体系の構造と精神から新たな解釈を提起した」、「道徳哲学において」「「道徳的最高善」が人格の課題として要請されたのみあらず、これに相即して正義とそれに値する安寧・福祉との綜合としての「政治的最高善」である永久平和が、まさに政治上の理念として立てられたことを解明した」、「最後に、さらに彼の歴史哲学思想において、道徳的共同体のい理念である神の国ともに」「純粋立憲政の理念と世界の府版的政治秩序が、まさに人類歴史の理念として立てられてあることを論証した」(347)
「個人人格の単なる「手段」としてではなく」「国家と法律に固有の価値と理念的意義を認めようとする」
「人格主義か共同体主義かの二者択一をもってのぞむことは不可能である」、「その間の相関関係」
「国家を「自目的」」とし「超個人的な「道徳的人格」」としたのは、「著者の解釈でははくして、まさにカント自身」」「国家・法律をもって道徳法の実現を可能ならしめる「外的条件」ということは、逆にまた道徳法則は国家・法律の秩序の実現を可能ならしめる「内的条件」というと同義に解して差支えない」(348)、道徳性と合法性
「後年ヘーゲルが二者を綜合して、人倫の最高形態・自由の実現態として国家の理念を展開せしめるに至った重要な契機を認め得る」、「ドイツ観念論の国家哲学は一朝にしてヘーゲルによって成ったものではあく、その基礎はすでにカントにおいて据えられていた」
「英仏における自由思想が影響を与えたことは事実」「「原本契約」」の観念。「もはや「契約説」の意味内容を全く」(349)「揚棄して」「実践理性の自由の理念の媒介によって、新たに「理性法」「理性国家」の概念を確立するもの」
「カントが政治的国家の固有の基礎づけに不十分であった所以は」「彼の国家が実践理性の先天的法則から演繹せられ、純粋に「理性の国」たる「法律国家」として、抽象的・形式的にとどまった点に求まられねばならない」
「そこにはなお「民族」の概念を欠き、深く現実の政治的非合理性の上に置礎するものでないと同時に、まだ文化的共同体としての精神的内容を盛るものではなかった」、「民族的個性の政治的表現としての国家の理解ではなかった」
「カント哲学」「「国家社会」と「歴史」の問題に対して、なお現代に有する意義」「キリスト教的人生観と世界観とを築き得るなお鞏固な哲学的基盤なり得るであろう」(350)
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