政治神学の問いとしての全体主義

 全体主義は、20世紀の特異な政治現象として位置づけることができる。近代の西欧的民主主義の歴史的展開とのかかわりで、どうして、20世紀にこの事態が生じたのかは、宗教的な観点からも説明を要するであろう。単純な歴史的偶然性による説明では事柄の深層・真相に届かないことは明らかであり、20世紀の政治思想の努力はこの点に向けられてきたとも言えよう。
 本ブログでも最近集中的に取り上げてきている、南原繁の政治哲学・政治思想史は、この問題を中心的テーマに据えており、その観点からの南原解釈は重要な研究課題となる。それとともに、こうした問題について、参照すべきものとそて挙げられるのは、ハンナ・アーレントの全体主義論であろう。アーレントの『全体主義の起源』(The Origins of Totalitarianism, 1951.)はアーレント研究としても重要な文献であるばかりでなく、全体主義を論じる上で、繰り返し参照すべきものである。
 幸い、アーレントの主要文献は邦訳が存在し、この文献も次の邦訳で読むことができる。
 ここでは、邦訳第3巻を紹介したい。

ハナ・アーレント
『全体主義の起源 3 全体主義』
みすず書房、1974年。

緒言
第一章 階級社会の崩壊
  1 大衆
  2 モッブとエリットの一時的同盟

第二章 全体主義運動
  1 全体主義のプロパガンダ
  2 全体主義組織

第三章 全体的支配
  1 国家機構
  2 秘密警察の役割
  3 強制収容所

第四章 イデオロギーとテロル

エピローグ

訳者あとがき
参考文献
索引

 全体主義についての議論は、先に挙げた南原に近いところで言えば、矢内原忠雄にも、興味深い論考が存在しており、合わせt論じる必要があるかもしれない。また、全体主義を宗教学的な視点であつかった古典としては、次のものが存在する。

K.フォンドゥング
『ナチズムと祝祭──国家社会主義のイデオロギー的祭儀と政治的宗教』
未来社、1988年(原著、1971年)。 

 もちろん、神学思想研究においても、全体主義は多くの議論が存在しているが、まだ議論すべき論点は少なくない。
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