南原繁『国家と宗教』5a

 今回から、南原繁『国家と宗教──ヨーロッパ精神史の研究』の補論「カトリシズムとプロテスタンティズム」の「五」に入ります。数回に分け、抜き書きを掲載します。
 まずは、冒頭部分。近世・近代を論じる上で、ルネサンスと宗教改革は、よく取り上げられる対ですが、両者を「人間論」として関連付けている点に、ここでの南原の議論の特徴があります。ドイツにおける哲学的人間学の展開などが関連しているのでしょうか。

「近世が文芸復興と宗教改革との競合によって、その幕を開いたこと」(365)
「文芸復興が古代ギリシャ文化に復ろうとするいわゆる「人文主義」」「の主張であるのに対して、宗教改革は原始キリスト教そのものに帰ろうとする純粋に宗教的な要求」「共通の契機がはくはない」「エラスムスとルッターとの関係」「いずれもカトリック教会に対抗して、スコラ哲学の綜合統一と中世的普遍主義との否定でったのである。そうして、その際、さらに積極的にこの両者をかたく結びつけたものは、実に「人間」の観念であったと思う。」(366)
「ルネッサンス運動において新たなのはこの人間主観の発見」(366)
「主観の内奥は、自己の自然的理性の力によってはいかんともし難い人間性の矛盾と相克を意識し、ここに単に自然人間的なものを超えて、超人間的な絶対的・精神的なものへの自覚に到達することが必要である。これは人間の内面的転換あるいは根本的更新の道であり、それこそが宗教改革によって成し遂げられたところのものである」、「ギリシャ的学問および芸術による古典的教養の再発見の歓びではなくして、一切の拘束から脱れしめ、値なくして人間を罪より救い、人間個性の魂を自由ならしめるところの、古えのごとき純粋の福音の歓びであったのである。」
「それは近世的人間」「ルネッサンスによって発見せられた人間観念の、新たな宗教的再生と内面化である。ルッターの信仰の核心」(367)
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