南原繁『国家と宗教』7a

 南原繁 『国家と宗教──ヨーロッパ精神史の研究』 の補論「カトリシズムとプロテスタンティズム」の「七」の前半です。内容は、田中耕太郎の書評を受けて、「日本的キリスト教」を論じるというものです。日本的キリスト教については、南原の無教会的背景が問題になりますが、それは後半の議論であり、前半はそのために国家との関連でキリスト教共同体(プロテスタンティズムを中心に)について必要な議論を確認することが行われます。通常は教会論というべきものですが、無教会的には、「教会」論という言い方は取られません。
 印象的なのは、冒頭に抜き出した、「キリスト教が世界・人類の普遍的救済の宗教であることと、同時に歴史的=国民的性格を有するにいたることとのあいだに、矛盾はないはずである」という主張です。これは、トレルチの初期キリスト教(イエス)についての分析に通じるもので、現代的な文脈でも再考すべきものです。

 では、以下、抜き書きです。

「日本的キリスト教」「田中教授」(398)
「キリスト教が世界・人類の普遍的救済の宗教であることと、同時に歴史的=国民的性格を有するにいたることとのあいだに、矛盾はないはずである」
「これを哲学の問題として考えるときに」「歴史的=個性的性格を帯びる」「にもかかわらず、単なる相対性を超えて、よく超歴史的=超国民的に理解することができる」
「キリスト教は世界宗教として、すべての時代と世界を通して同一なる確定不動の本質をみずからに保有せねばならぬとともに、本来、古代的国民国家の境界を超えて、普遍的=人類的な要請をもって興ったキリスト教が、一方、超国民的=超歴史的であるとともに、他方、歴史的=国民的に限定せられ」(399)
「「日本的キリスト教」とは、何よりも、そうした教会の組織やドグマの「権威」から自由独立でなければならない」
「プロテスタンティズムに内在する根本の問題は「教会」にあると思う。」
「「見えざる教会」の理想を強調したことは、たしかに宗教改革の意義であった」、「信仰を通して直接神によって捉えられた人びとの全体」(400)
「しかるに、彼が同時に実際的見地から「見える教会」を承認したことから、ついにルッター教会が「国教会」制度に堕したことは、一つの大きな矛盾であった」、「プロテスタント内に「教派」(Sekte)が発生し、ルッター的国教会を否定して、ある者は独立の自覚的なキリスト者の結合を理想とするにいたった。さらに進んで」「宗教生活においてもそれぞれの自由の組織を要求するにいたったこと」「新カルヴィン主義の影響による」
「しかし、何かの組織制度として「教会」を承認する以上は、教会の可及的自律を主張し、客観的な恩恵の共同体として何らかの伝統の上に、礼典と救済の制度としての意義を要求せざるを得ない」、「妥協と政策の結果」(401)
「われわれは、かえって宗教改革の精神を推し進めることによって」「一般に教会概念の超克に向かわなければならない」、「精神と人格との宗教を奇蹟と徴しの宗教に化することを思い止まらねければならなぬ」、「見えざるもの見えざるものとして、精神を精神とし、イデアルなものをイデアルのものとして把握し、確信する力を喪失してはならない」「近世理想主義」
「キリスト教の「神の国」の共同体性」(402)
「最後まで不可視の教会としてと取りおかなければならない」、「ルッターの信仰の純化、宗教改革の精神の徹底化であり、また原始キリスト教への復帰」、「神により直接結合せられることによって成り立つ自由なる人格と、その愛の共同体思想の復活」、「イエス自身のキリスト教の本質」(403)
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