日本における東方正教会研究について

 昨日は、「キリスト教史」研究ということで、山川出版社の「宗教の世界史」に収録された、廣岡正久著 『キリストの歴史3──東方正教会・東方諸教会』 (2013年)を紹介した。
 これは、日本の研究者による東方正教会の通史の記述として、かなり画期的なものと思われる。「本書はキリスト教神学書ではないし、厳密な意味での教会史の専門書でもない」(5頁)と言われているが、類書がほとんど存在しないのでないだろうか(翻訳書としてはあるかもしれないが)。これは、日本における東方正教会研究が、まだまだこれからの研究分野であることを示している(ギリシャ教父に関連して古代は別にして)。もちろん、これは、日本における正教会の広がりとも関連しているわけであるが(キリスト教徒の広がりと神学研究のレベルとは相関関係にある。教会と神学とは無関係ではあり得ない)。
 こうした状況はさまざまな点に影響してくる。たとえば、現在、日本基督教学会を中心に「キリスト教大辞典」の企画が進められているが、そこで、東方正教会などを担当できる編集委員が未定のままである。これが、日本のキリスト教研究の実情のいったんであり、個々の研究者のレベルをアップするだけでなく、そもそも研究者を数的に増やす必要がある。そして、そのためには、多くの研究者が安定して研究を続けられる現実的な基盤を整備しなければならない。
 東方正教会研究の実情は、実は、日本のキリスト教研究状況を映しているのである。

先に挙げた廣岡正久著 『キリストの歴史3──東方正教会・東方諸教会』 (2013年)では、「コラム 私の「機密」体験」で、次のように述べられている。
「私は、曾祖父が明治二十年頃正教キリスト教の洗礼を受けて以来の日本ハリストス正教会信徒の家庭に生まれた。幼児洗礼を施された私のキリスト教信仰は家族の信仰を共有するというかたちで始まり、正教徒であることが当然であるかのように現在まで続いていることになる」、「私が体験した「機密」にかかわるもっとも衝撃的なできごとは、ギリシアのアテネの教会でのことである」(8)。

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