宣教論をめぐって

 キリスト新聞社刊の、Ministry(ミニストリー) vol.31 (2016年11月)を贈呈いただいた。
 「シリーズ・21世紀 神学の扉」(今回は、「新約聖書の神学」ということで、辻学さん)をはじめ、読みごたえのある、バラエティに富んだ内容です。

 しかし、最大のポイントは、「特集 サブカルチャー宣教論 ニッポンの教会が見出す新たな地平」でしょう。
 次のような目次になっています。

・「サブカル界隈からのアツい視線」:架神恭介(作家、漫画原作者)、天乃聖樹(ラノベ作家、シナリオライター)
・「キリスト教マンガ表象論ことはじめ」(黒田祐貴)
・インタビュー「実はサブカルとの「コンタクトゾーン」が広いキリスト教 宗教学者 堀江宗正の見方」
・「受肉信仰とサブカルチャーの邂逅 香港のサブカル牧師が日本のマンガ・アニメで宣教するワケ」(范晉豪)
・「たとえばこんなアプローチ 特撮編」(澤村雅史、金伽耶、栗林輝夫)
・対談「ゲーム実況しながら仏教を語るリア住蝉丸Pと対談してみた」(蝉丸P/松谷)
・まとめ「サブカル宣教論は錯乱メンタルか?」(波勢邦生)
  そのほかに、「オタクリにも言わせて!1 気づけば100人超コミュニティ mion(mixi「オタクリコミュ」管理人)」 「オタクリにも言わせて!2 サブカル宣教のススメ あやめ(クリスチャンブロガー)」
 
 この特集は目次だけでも、熱気が伝わる、意欲が伝わる内容です。
 
 わたくしは、「宣教論」を専門にしているわけでもないので、自分との接点のあるあたりの内容についての印象を少々。宣教とは、宣教する人、宣教内容、宣教方法(形態)、宣教される人といった要素から成り立つ活動と思われますが、これまでの宣教論では、宣教する人と宣教される人の分析、これらに人への視線が欠けていたように思われます(もちろん、印象です)。
 サブカル宣教論は、この「人」への注目、つまり、日本社会で現に生きている人を視野に入れた宣教という議論と言えるでしょうか(もちろん、宣教内容・方法も目に付きますが)。これまで、日本宣教と言いながら、その肝心の「日本」理解が不十分な宣教論に対して、また日本理解と言ってももっぱらハイカルチャーだけしか視野に入っていなかった宣教論に対して、日本社会・日本人を真剣に捉えようとする際に、欠くことのできないもの、それがサブカルということかと思います。

 このように理解した上で、二つのコメント。

・「日本」「日本人」を理解するといっても、単一の「日本」「日本人」という抽象度の高い議論ではなく、多元的な対象の中でターゲットを絞り込んだ議論を行う、このようにサブカル宣教論は位置づけられるでしょうか。サブカルでアプローチできる範囲、あるいはそれでは届かないところ、こういった視点も必要かもしれません。

・日本理解という点では、これまでも議論されてきた「民衆」という問題意識とサブカルという問題設定は重なる部分が多いという印象を受けます。たとえば、民衆宗教の特徴としての「御利益志向」とサブカルの重なりです。とすれば、「民衆」のもっている両義性(プラスとマイナス)は、サブカルにおいても重要なポイントになるでしょう。
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