文化の神学13

 「文化の神学」として、ここしばらくは音楽を扱ってきたが、音楽という視点から、宗教と文化との関連を考える上で、重要なポイントの一つは、教育、学校教育である。これは、とくに近代日本を考える上で注目すべき論点となる。いわゆる唱歌が近代日本の音楽に与えた影響とそこにかかわるキリスト教的なものは、本格的な議論を必要としており、また、学校を場とした合唱や吹奏楽(ブラスバンド)は、日本の音楽文化の一つの基盤であることは疑いもない。

 唱歌「ふるさと」は、多くの日本人が今も親しんでいる曲と思われるが、次の歌詞はご存じだろうか。

<福音版 ふるさと>
1.神はこの世愛され ひとり御子遣わす
  我の罪をきよめて 我を救うキリスト
2.嘆き変わり賛美に 涙かわき喜び
  朝に夕に祈りて   共に歩むキリスト
3.神のみむね果たして いつの日に帰らむ
  光溢るふるさと   イエスの待てるふるさと

 もちろん、これは「福音版」の替え歌であるが、この原曲の作曲者である岡野貞一(1878~1941)が、キリスト教信仰をもった音楽家であったことは銘記すべきことと思われる。岡野は、1892年に現在の日本基督教団鳥取教会で洗礼を受け、宣教師からオルガンの手ほどきをうけ、その東京音楽学校に進んだ(1906年からは、助教授、そして後に教授)。本郷中央教会でオルガニストを務める。
 彼の作曲した唱歌には、ふるさとのほか、春の小川、朧月夜、桃太郎などがあり、多くの学校の校歌も作曲した。
 こうしたキリスト教信仰の存在が意識されることはほとんどないと思うが、福音版における「イエスの待てるふるさと」という言葉を介すれば、岡野のイメージする「ふるさと」は、いわゆる懐かしい美しい日本・郷土というにとどまらずに、それには「天」(フィリピ4.20「わたしたちの本国は天にあります」)が重ね合わせていると言えないだろうか。
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