パウロ研究の動向

 本ブログでも、これまでパウロ研究に関しては、しばしば言及し、その中で、ホレルの著書についても紹介してきた。ホレルは新約聖書の社会科学的研究で知られる研究者であるが、環境論についても、聖書学の関わりより積極的な議論を展開しており、注目すべき新約聖書学者の一人と思われる。

今回取り上げたいのは、以前に取り上げたことのある、次の文献である。ただし、今回は、2015年に刊行の第三版である。
 David G. Horrell, An Introduction to the Study of Paul, Second Edition,(T & T Clark, 2006 (2000))は、現在、京都大学のパウロの演習で副読本として使用しているが、最近、第三版が出ていることに気がつき念のために、購入してみた。すると、もともと160頁程度であった第二版が、230頁に増えており、内容の大きな改訂があることは一目瞭然である。
 
David G. Horrell,
An Introduction to the Study of Paul, Third Edition,
Bloomsbury, 2015.

 目次からわかることは、第7章のタイトルが、大きく変更され(ほかの章のタイトルの変更はない)、内容も次のように大きく書き換えられたことである。

第二版: 7 New approaches to the study of Paul: social-scientific, political and feminist interpretation
第三版: 7 Perspectives on the Pauline Assemblies 

 第二版のややごたごたしたタイトルが今回はすっきりしたものとなっており、この章が、まさにホレルのもっとも専門とする領域であることを考えれば、この10年の議論の進展が、この章に反映されていることが想像できる。

 同じ文献でも版によってその相違がかなり大きく、どの版を参照するかが問われるという事態が、ここにも確認できる。これは、古典的な思想家についてはしばしば指摘されることであるが、現代の専門研究においても、別の観点から生じることがわかる。それは、研究の急速な変化とその変化を容易に反映しやすい出版システムの存在である。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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