文化の神学16

 昨日は、皆川達夫の著書を取り上げたが、同じ講談社学術文庫のものとして、今回は、次のものを紹介したい。もともとは講談社現代新書として刊行され(1972年)、44版を重ねたものとのこと。

皆川達夫
『バロック音楽』
講談社学術文庫、2006年。

はじめに
バロック音楽と出会い
   音楽とはなにか

1 ヨーロッパ音楽の流れ
   バロック以前の音楽/バロック以後の音楽
2 バロック音楽の魅力
   バロック音楽の時代/音楽としての特徴
3 楽器が語るバロック音楽
   鍵盤楽器の活躍/彩りを添える管弦楽器
4 オペラと宗教音楽 イタリアの声楽音楽
   オペラが開いたバロックの時代/宗教音楽の展開
5 新しい様式を求めて イタリアの器楽音楽
   さまざまな器楽形式/器楽音楽の充実
6 優雅な宮廷音楽 フランス
   音楽好きの王様たち/フランス的ということ
7 革命と音楽の運命 イギリス・スペイン
   音楽不毛の時代/音楽復興の波
8 「音楽の国」の誕生 ドイツ
   バッハを準備した人々/ドイツらしさと外国の影響
9 バロック音楽の大成 バッハとヘンデル
   ヨハン・セバスチャン・バッハ/ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル

バロック音楽と日本人
   われわれを取り巻く音楽的状況

あとがき
バロック音楽史小事典
バロック音楽史年表
バロック音楽史関連地図
事項索引
人名索引

 日本を意識した内容、また付録も充実。わたく自身は、学生時代は別にして、音楽を理屈で考えることはしない、とにかく楽しむという態度で来ているが、こうした音楽史の文献を読むことによって、音楽の楽しみ方に幅ができるのは確かである。
 文化の神学との関わりで言えば、「4 オペラと宗教音楽」などは、まさにぴったりのテーマである。

「それは遠い異国の古い楽の調べをなつかしむといった懐古趣味から発したものでは決してなく、むしろ、わたくしたちの現在の生活に密着した意識から出発したものであり、わたくしたちが現在の自分たち自身を知り、自分を見いだす一つの手がかりを求める積極的な前向きの行為と言える。ヨーロッパの古い時代の音楽に対する関心は、畢竟、現代におけるわたしたちの存在につながる基本問題の一つなのである。」(17-18)

 近代日本は、日本的伝統と欧米的伝統という二つの地平の交差において規定されており、近現代の日本は欧米の伝統の継承という側面なしには理解することができない。日本においてヨーロッパの思想を学ぶと言うことも、日本人の自己理解にとって無関係ではないのである。グローバル化がもたらす文化的意味はこうした点から論じるべきであろう。
 

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