モルトマン神学

 モルトマンは、現代神学を代表する神学者の一人であり、日本においても、多くの著作が翻訳されている。わたくしも、これまで、論文などでしばしば、モルトマンを論じてきた。モルトマンは、神学の理論的な議論はもちろんであるが、実践・行動という点で、特に重要な働きをしており、その点で、倫理的諸問題は、モルトマン神学の重要部分と言える。
 モルトマンが2010年に刊行していた文献が、いよいよ邦訳されたので、以下、紹介したい。

モルトマン
『希望の倫理』
新教出版社、2016年12月。

はじめに
第Ⅰ章 終末論と倫理
 緒論
 第1節 黙示録的な終末論
 第2節 キリスト論的な終末論
 第3節 分離主義的な終末論
 第4節 変革的な終末論

第Ⅱ章 生命の倫理
 第1節 生命の文化
 第2節 医療の倫理
 第3節 健康と病気における生命力
 第4節 死にゆくことと死ぬことの中にある生命力
 第5節 肉体の復活?

第Ⅲ章 地球の倫理
 第1節 地球の空間において――地球とは何か?
    1 ガイア理論
    2 聖書的視点
    3 「兄弟よ、大地に忠実であれ」
 第2節 地球の時間の中で――創造論と進化論
    1 始まりにおける創造
    2 継続される創造
    3 進化と創発性
    4 生存のための闘争か、それとも生存のための協力か? 
    5 進化論と進歩信仰
    6 義の上に住まう新しい地
 第3節 生態系
    1 生態学的な諸学問
    2 生態系の危機
    3 生態系の倫理
    4 人間の権利と自然の権利
 第4節 地球の倫理
    1 判断形成の基準
    2 オルタナティブな生活様式
    3 連帯の文化

第Ⅳ章 正義に基づく平和の倫理
 第1節 判断形成の基準
 第2節 神的な義と人間的な義
 第3節 キリスト教における竜殺しと平和づくり
 第4節 管理は良いが信頼はもっと良い――「自由な世界」における自由と安全
 第5節 神の義および人間と市民の権利

第Ⅴ章 神への喜び――美的な対位法
 第1節 安息日――創造の祝祭
 第2節 キリストの復活の歓喜
 第3節 「そして争いのただ中の平和」


訳者解説 『希望の神学』から『希望の倫理』へ (福嶋揚)
聖書箇所索引
人名索引

 第Ⅰ章と第Ⅴ章とが、「希望」(終末論)という枠をなし、その間に、生命、環境、正義・平和が、配置される構成であり、確かに「希望の倫理」にふさわしい。希望はキリスト教思想だけでなく、現代世界で共有され探求される基本的なしるしである。
 今年度の京都大学の講読では、後期に、人間以外の生命(動物)の道徳的地位というテーマの英語の論文を読み、その後、近藤勝彦『キリスト教倫理学』(教文館、2009年)の第10章「環境の倫理」を読んでいるが、その中でも、もっとも詳細に議論されているのが、モルトマンである(もちろん、批判を含めて)。そのこともあって、「第Ⅲ章 地球の倫理」の章については、ほかよりも詳し目の目次を紹介した。
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