『図書』 から

『図書』2017.2 (岩波書店)が届きました。
今日明日と、卒論・修論の試問が行われる関係で、その関連の仕事がありますので、今回は、簡単な紹介にとどめます(といっても、紹介すべきものはあまり多くのないのですが)。節分で、近くの吉田神社は、その準備が始まりつつあるようです。節分と試問の重なりは例年通りです。

 表題的には、師岡カリーマ・エルサムニー「信仰、イデオロギー、アイデンティティ、プライド・・・意地」は、宗教とも関連ありような感じですが、内容的にはそれほどでもありません。

 また、三浦佳世「ポロックの「でたらめ」──物理学者が発見したフラクタル構造」は面白いのですが、紹介は次のエッセイ。
・「明治憲法と固有信仰」 (柄谷行人)
 これまで柄谷行人のエッセイは、紹介したことがありませんでしたが、今回はなかなかキリスト教・宗教との関わりで、興味深い。

 出だしは、島崎藤村と柳田国男の国学的背景(平田派)から。その連関で、「藤村はキリスト教に入信した」とが触れられる。この連関で、魚木忠一にも触れられつつ、話は、国家神道の確立に向かう。

 面白いのは、神社合祀政策へは反対する点で、柳田国男(固有信仰の担い手であった小さな神社の保存)と南方熊楠(自然環境の保存)が動機は違っていたが、交流が始まったことから、日本の固有信仰へと話が進められる点である。

「明治初期の廃仏毀釈がもたらしたものは、固有信仰の回復ではなく、むしろその破壊であった」、普通の家における「仏壇が廃棄されるとともに、先祖神も消されてしまった」。
「神道が「敬神」の対象であって「信仰」の対象ではないという考えは、神道系の「宗教」にとっては大きな打撃であった」。

 こうした公的見解が、「皇室の人々に、逆に、真の宗教・信仰を神道以外の宗教に求めるように促した」。
 なるほど。

 こうして、皇太子妃とカトリック信仰との関わりへと議論は進む。明治にはまだまだ解明すべき問題がある。
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