日本における組織神学の試みから6

 先日、「日本における組織神学の試みから」の5で、熊野義孝『神学概論』『熊野義孝全集』第四巻、新教出版社)を取り上げたが、熊野に関しては、むしろ、『キリスト教本質論』と題された、『熊野義孝全集』第六巻(新教出版社)に所収の「キリスト教概論」(1947年)を取り上げるべきとも思われるので、そちらも紹介しておきたい。なお、『熊野義孝全集』第六巻(新教出版社)には、「キリスト教本質論」(1949年)が収録されている。こちらも、「熊野神学のキリスト教本質論は、トレルチのキリスト教本質論を課題としてうけとめつつ、弁証法神学によって得られた洞察の上に、それに答えていこうとしたもの」(熊澤義宣による「解説」からの引用)という点で、重要である。

熊野義孝
『神学概論』
1947年(全集版は、1978年)。


第一篇 宗教としてのキリスト教
  第一章 緒論
  第二章 宗教と諸宗教
  第三章 キリスト教の本質について

第二篇 特にキリスト教的なるもの
  第四章 キリストの体
  第五章 権威の所在
  第六章 伝承と教義

第三篇 福音的教会の理念
  第七章 歴史的信仰の意義
  第八章 福音的信仰の立場
  第九章 信仰と道徳
  第十章 信仰告白

 以上の構成は、きわめて興味深いものと言える。これは、近代神学が「おおむね教義学ないし神学一般の解消に赴いたに対して、この書の意図はあたかもその逆に向かう」(3)という序における説明にある構成である。つまり、本書は、宗教・諸宗教からキリスト教へ、そしてプロテスタント教会へという仕方で叙述されており、宗教学的に考えれも、同意できる構成である。わたくしも、キリスト教学概論を長年講義しているが、それは、「現代宗教学からキリスト教思想(史)へ」という順序で行われており、内容は別にして、基本構想において、熊野のキリスト教概論は、納得できるものである。
 この概論の位置づけであるが、熊野が、序で、「教義学ないし神学一般の基礎工事」、「信仰論および教義学と相俟ってキリスト教神学の全体系を形造る。この書はそれの第一部門と見られた差し支えない」(3)と述べるように、すでに本ブログでも紹介も熊野神学の中心をなす「教義学」とこの概論とは、組織神学体系のなか二つの部門と考えてよいであろう。
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