キリスト教起源神話と民主主義

 キリスト教学あるいは宗教学の講義(概論的)において、キリスト教の成立を説明する際に、わたくしは起源神話の成立に言及し、キリスト教起源神話の成立(パウロ神学+ルカ的な救済史の神学、つまり第1次ユダヤ戦争以降)をキリスト教成立のメルクマールにするという立場から議論を行うことにしている。この場合にの「神話」概念は、啓蒙主義的偏見に基づいた神話概念ではなく、現代の宗教学的で神話学的な理解に基づく「中立的」なものであるわけであるが、ポイントは、人間の共同体的な現実は、物語的(あるいは虚構的)な仕方で構成される、そもそも人間の現実性は虚構を組み込むことにおいて成立しているということになる(虚構か現実かの二分法の限界はここにある)。
 こうした議論を新約聖書学の中で展開している研究者として、バートン・マックが挙げられるが、マックは最近、「キリスト教的神話の文化的影響」という観点から、そして9・11以降のアメリカの状況において、民主主義的理念の回復を論じる著書を刊行した。今回は、この文献を紹介したい。

Burton L. Mack,
The Rise and Fall of the Christian Myth. Restoring Our Democratic Ideals,
Yale University Press, 2017.

Introduction
1 The Big Picture
2 Theory
3 The Christian Myth
4 Social Interests
5 Social Issues
6 Cultural Analytics
7 Three Mono Myths
8 Imaging the Future

Conclusion: A Palliative Postscript

Authors and Works Cited
Index

 バートン・マックは、日本でもいくつかの新約聖書学の著作が翻訳されており、一定の知名度はあるものと思われる。彼のQ仮説をめぐる議論も新約聖書学的には面白いかもしれないが、わたくしは、どちらかと言えば、彼の起源神話論に興味がある。今回紹介の著作は、その点からも興味深いものであり、1931年生まれのマックが、序論で生い立ちから初めて自分自身を詳しく語っていることについても、指摘しておきたい。
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