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中世哲学研究11

 これまで、稲垣良典と山田晶とを起点に、日本の中世哲学研究を、わたくしの所蔵文献の範囲で、紹介してきた。こうした観点から、取り上げられるべきは、クラウス・リーゼンフーバーであろう。リーゼンフーバーは、『近代哲学の根本問題』(知泉書館、2014年)などからわかるように、ドイツ観念論、ハイデガー、西田哲学に至る、広範な哲学研究を展開してきた研究者であるが、
同時に、その中心に中世哲学研究が位置することが疑いないであろう。その主著となると、次の文献が挙げられねばならない。

K・リーゼンフーバー
『中世哲学の源流』
創文社、1995年。


第一章 中世哲学研究の現況

第Ⅰ部 教父時代における中世思想の基礎づけ
 第二章 使用と観想
       ──文化と宗教の関係についての教父思想の二類型
 第三章 ボエティウスの伝統
       ──プラトン主義とアリストテレス論理学の中世への継承
 第四章 ラテン中世における教父神学の遺産

第Ⅱ部 言葉と知識
 第五章 アウグスティヌスにおける言葉と思惟
 第六章 サン=ヴィクトルのフーゴーにおける学問体系
 第七章 ボーヴェのウィンケンティウスにおける教養理解
 第八章 トマス・アクィナスにおける言葉

第Ⅲ部 自由と至福
 第九章 中世思想における至福の概念
 第十章 ボナベントゥラの自由論
第十一章 神の全能と人間の自由
       ──オッカム理解の試み

第Ⅳ部 自然と存在 
第十二章 被造物としての自然
       ──教父時代および中世における創造論
第十三章 アウグスティヌスにおける自然理解
第十四章 トマス・アクィナスにおける自然理解
第十五章 トマス・アクィナスにおける存在理解の展開
第十六章 存在と思惟
       ──存在理解の展開の可能性を探って
第十七章 トマス・アクィナスにおける神認識の構造
第十八章 知性論と神秘思想
       ──十三・十四世紀のスコラ学の問題設定

あとがき
索引

 中世哲学の広がり・豊かさを感じさせる研究である。
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Author:LogosOffice
 本ブログは、2013年度以降に、芦名定道を代表者として交付を受けた科研費による研究内容を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。この間、ブログのタイトルは、「自然神学・環境・経済」から、「自然神学・宗教哲学・自然哲学」へと変化したが、趣旨は一貫しており、かなり自由にさまざまな問題を取り上げきました。2021年4月より、このブログの作成者は、所属する大学が変わりましたが、当面は、同様の内容でこのブログを運営する予定です。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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