カントと自然科学(2)

 前回は、犬竹正幸『カントの批判哲学と自然科学 『自然科学の形而上学的原理』の研究』(創文社、2011年)を紹介したが、カント研究にとって、また宗教哲学を含めた哲学思想において、自然科学との関わりは重要な問題である。古代ギリシャにおいて、アリストテレスの形而上学が自然学とどのような関わりを有していたかを思い起こせば、その事情は了解可能であろう。
 カントにおいても、批判哲学の主著『純粋理性批判』が、数学と自然科学を方法論的なモデルとして、将来の形而上学構築に向けた哲学構想であったことは、第二版の序文などを見れば、一目瞭然である。

「数学と自然科学という実例」「これらの学に大きな利益を与えたところの考方の変革に存する本質的な点」
「この両学と形而上学との類比が許す限り、形而上学において少なくとも試みに数学および自然科学を模倣してみてはどうか、ということである」
「形而上学では、ア・プリオリな認識、つまり対象が我々に与えられる前に対象について何ごとかを決定するような認識の可能が要求されている」
「この事情は、コペルニクスの主要な思想とまったく同じことになる」(B XVI、『純粋理性批判』上、岩波文庫、32-33)。

 というわけで、カント研究にとって自然科学が何であったのかは、決定的な意義を有する研究テーマなのである。当然、先行研究は無数にのぼる。
 
以下、日本語で読める文献をいくつか示しておきたい。
・ペーター・プラース『カントの自然科学論』(晢書房)
 C・F・フォン・ヴァイツゼカーの序言がついたこの文献は、カント研究としてきわめて評価の高いものである。
・松山壽一『ニュートンとカント 力と物質の自然哲学』(1997年)、『ニュートンからカントへ 力と物質の概念史』(2004年)、いずれも、晃洋書房。
 犬竹正幸『カントの批判哲学と自然科学 『自然科学の形而上学的原理』の研究』でも、文献表に挙げられた研究書であり、カントと自然科学というテーマについての日本における代表的な研究である。

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2010年度より科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われている研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信します。

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