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佐藤敏夫(9b)

 佐藤敏夫『キリスト教神学概論』(新教出版社)についてのコメントです。

・佐藤が序言やあとがきで述べているように、この著作は、教義学概説という神学科目に対応する内容を扱うものであり、序説と各論(本論・体系)から構成されている。桑田秀延の『基督教神学概論』(全集第一巻、キリスト新聞社)がモデルになっているとのことであるが、桑田の次の世代(?)の佐藤による新たな概論の試みである。もちろん、この桑田の著書は、決して古くなってしまったわけではなく、大学の学部生が、組織神学を学び始める際に良い手引きになると思われる。わたくしも、理学部から文学部(キリスト教学)に編入した当時、この桑田の著書を父の書斎(これは、現在の全集版ではなく、古い初版であり、今はわたくしの手元にある)から借りだして精読したことを覚えている。

・佐藤の本書は、桑田をモデルにしながらも、新しい思想動向に対応する試みが随所に見られる。序説第三章「教学的陳述とメタファーならびにストーリー」は、ティリッヒとブルトマンを中心にしたものであるが、ユンゲルの隠喩論(リクールにも関わる)を参照しており、教義学的言語の特質を考察する意欲ある取り組みになっている。また、付論3は、共著『日本神学史』(ヨルダン社)の分担箇所が収録されているように思われるが(確かめればわかることであるが、今はさしあたりの印象として指摘しておく)、佐藤がこの概論を日本の神学思想史のなかに位置づけていることを反映している。

・教義学は、その体系を完成するのに、時間と労力を必要とする作業であり、禁欲的にこの事業に集中しても10年以上、おそらくは20年以上の歳月を要するものと思われる。日本では、まだこのレベルの教義学体系を具体的に提示した神学者は現れていない(熊野義孝を例外にして)。教義学序説や教義学概論をまとめるのも大きな仕事ではあるが、それはあくまでも入り口であり、その先には巨大な学問領域が広がっている。佐藤もこうした本格的な体系構築には至らなかった。これから、日本の神学界は、組織神学・教義学の本格的な仕事を生み出すだけの内実を整えることができるのだろうか。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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