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ドーキンス 対 マクグラス

 マクグラスは、「キリスト教と自然科学」や自然神学というテーマ、そしてそのほかの広範な事柄に関して、生産的な議論を展開しつつある、現代のキリスト教思想を代表する人物である。この「キリスト教と自然科学」という問題については、両者の積極的な関わりを強調する思想家から、両者の矛盾・対立を強調する思想家まで様々なわけであるが、マクグラスが前者の代表であるのに対して、日本でも利己的遺伝子論で有名なドーキンスは後者の代表と言える。当然、両者の間には、激しい知的な論争が期待できるわけであるが、少なくとも、マクグラスは、ドーキンス論をこれまで繰り返し展開しており、ドーキンス的な無神論的自然主義を重要な問題として捉えていることが分かる。

 今回、紹介するのは、こうしたマクグラスの最近のドーキンス論であり、ドーキンスの議論の問題点を理解するのに適切な内容のとなっている。比較的コンパクトな著書であるが、論点は明瞭であり、こうしたテーマに関心のある方は、一読いただき、問題状況を正確に把握いただきたい。
 
 翻訳者は、昨年わたくしも翻訳に関わった『「自然」を神学する──キリスト教自然神学の新展開』(教文館)の共訳者、杉岡良彦氏である。杉岡氏とはマクグラスの翻訳などを解して、研究上の交流を続けてきているが、おそらく遠からず、ほかの研究者を含めた共著という形で、共通の研究成果が出版される運びになっており、それに関しても、このブログあるいは、関連の別のブログで紹介したい。

A・E・マクグラス、J・C・マクグラス
『神は妄想か? 無神論原理主義とドーキンスによる神の否定』
杉岡良彦訳
教文館、2012年。


ドーキンスへの応答

第一章 神についての妄想か
    信仰は幼稚である/信仰は非合理的である/神の存在証明?/神は極めて蓋然性が低い/隙間の神

第二章 科学は神が存在しないことを証明したか
    科学の限界?/科学と宗教の闘争?/原理主義の衝突

第三章 宗教の起源は何か
    宗教の定義/神への信仰と宗教/心のウイルス/ミーム、万歳!

第四章 宗教は悪なのか
    宗教は暴力へと導く/人間による理想の乱用/イエスと隣人愛/キリスト教と宗教批判/
    旧約聖書の読解に関して/宗教と幸福/結論


参考文献
訳者あとがき
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、内容的にこの科研のテーマ(「自然神学・環境・経済」)に限定されない諸問題を扱うことが多くなったため、本ブログのタイトルと趣旨を変更したいと考えました。新しいタイトルは「自然神学・宗教哲学・自然哲学」となります。もちろん、これまで同様にさまざまな問題を取り上げます。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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