今大学で研究・教育するということ

今年も京都は祇園祭の季節を迎え、本日は宵山となる。まだ梅雨明けとはいかないようであるが(梅雨明け前の激しい雨は、例年のようにも思われるが、今年の豪雨は想像を超えた災害を生みだしている。昨日は京都北部でも一時間90ミリの降雨となった)、これから35度を超える気温になる雰囲気である。午前中も早めの時間帯ですでに暑さが感じられる。
 今年は7月16日が海の日でのため、大学も連休で、構内にはほとんど人が見られない(もう少し立つと、大学内外は観光客が増えてくる)。大学も連休であるから、授業は当然休みであるが(休みではない大学もある!)、ゆっくりできるかというと必ずしもそうではない。本日のブログでは、この点について、とりとめもない「雑感」を述べてみたい。

 大学とは、教育と研究という活動が行われる場であること(教育と研究のいずれに比重を置くかは様々なであるが)、あるいはこうした活動を通した人材育成の場であること、こうした点については一般論として特に疑問を差し挟む必要はないであろう。

 しかし、大学の現状を見るとき、こうした一般論はそのまま成り立つか、やや疑問も生じてくる。「忙しさ」、しかも無駄にと言いたくなる仕方での「忙しさ」、この実感は多くの大学の現場で働く者が共有しているのではないであろうか。忙しくて、研究はもちろん、教育も行う余裕がない? では一体なにをやっているのか。無数の会議に、無数の書類、そのほかもろもろの所用。これに大学外の、たとえば学会という組織の役職などが重なるとかなり大変なことになる。

 大学をはじめ「学校」(School)の語源をたどれば、ラテン語のスコラ(schola)から、ギリシャ語のスコレーに遡ること、そしてスコレーが「労働を免除され精神活動や自己充実に用いることのできる積極的な時間」を意味していたことはよく知られたことであるが、皮肉なことに、大学ではすでにスコレーは死語になりつつあるのではないであろうか。もちろん、日本の大学も積極的な意味でのスコレーが確保されていた時代はおそらくあったのであろう(わたくしは最近研究している波多野の時代などは当然?)。いつから大学もいたずらに忙しくなったのか。
自分が学生だった時代、30年前は、もう少し時間がゆったりと流れていたようにも思われるが(これは、振り返るからそう思われるだけであろうか)。

 もちろん、ここで反省が必要である。この「忙しさ」は、単に外から襲いかかってきたものではないからである(災害のかなりの部分が天災というよりも人災であるのと同様に)。実は、忙しさのかなりの部分、少なくとも一定の部分は、自分の責任であることは忘れてはならない。様々な仕事が増えてきているのは事実であるが、それを引き受けたのは自分だったのである。学生から常勤職につくまでに、長い非常勤職の時代を過ごしていると、できる仕事は何でも引き受けるという習性が身につき、なかなかそれが抜けきれないということになる。この仕事を引き受けておかないと、この人間関係を大切にしないと、来年度は仕事がなくなるかもしれない、こうした不安である。

 特にこの数年来、仕事を整理しなければならないと感じることがある(それにもかかわらず、整理が進まないのはどうしてであろうか。様々な役職がめぐっている年代になったということであろうか)。余計な仕事はできるだけ引き受けない、その分、研究に集中し教育に集中する、自分のスケジュールを点検し研究の時間を確保する、これが当面の目標である。

 現在の大学人は、本来のスコレーを喪失しつつあり、またそれをサポートしてくれる有能な秘書も存在しない(バルトにとってのキルシュバウムのような)。そんな状況でも研究を、しかも充実した研究を行うこと、これが現代の大学人のなすべき挑戦かもしれない。忙しさをコントロールし、研究と教育に集中する、まだ夏休みは先のことではあるが、後期の忙しさが始まる前に、じっくり考えてみたいテーマである。
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