科学技術とキリスト教、高木仁三郞(1)

 この「科学技術とキリスト教」では、キリスト教思想における科学技術論(自然神学の一つの具体化)の展開に向けた準備作業として、基礎資料の紹介と文献資料からの抜き書き作成を行いたい。キリスト教思想と自然科学という問題についてはこれまで、特に近年膨大な研究が蓄積されてきており、それは本ブログの中心的テーマでもある。しかし、本ブログの研究テーマの特徴は、こうした動向を一方では社会科学へと拡張し、他方では東アジアの思想文脈の明確化という点にある。「技術」を有機的に組み入れた科学技術は、本ブログのテーマ展開にとって重要な研究対象であり、また、今後のキリスト教思想研究が取り組むべき問題である。これが大震災・原発という問題をキリスト教思想という視点から本格的に論じる前提となることも強調しなければならない。

 というわけで、まず取り上げるのは、高木仁三郞である。しかし、科学技術自体の中身に直接関わるものよりも、高木仁三郞が追求した「市民科学」の構想、高木学校(http://takasas.main.jp/)を生み出した理念に関わる著作を取り上げたい。取り上げるのは、『市民科学者として生きる』(岩波新書)と『高木仁三郞コレクション』(岩波現代文庫)である。

 以下は、高木学校のHPからの、高木仁三郞の言葉(http://takasas.main.jp/index2.html)の転載です。

◆科学者が科学者たりうるのは、本来社会がその時代時代で科学という営みに託した期待に応えようとする努力によってであろう。高度に制度化された研究システムの下ではみえにくくなっているが、社会と科学者の間には本来このような暗黙の契約関係が成り立っているとみるべきだ。としたら、科学者達は、まず市民の不安を共有するところから始めるべきだ。そうでなくては、たとえいかに理科教育に工夫を施してみても若者達の“理科離れ”はいっそう進み、社会(市民)の支持を失った科学は活力を失うであろう。
 厳しいことを書いたようだが、私はいまが科学の大きな転換のチャンスであり、市民の不信や不安は、期待の裏返しだから、大きな支持の力に転じうるものだ、と考える。社会と科学の関係は、今後もっと多様化するだろう。科学者と市民が直接手を取り合って、社会的課題に取組むというケースも増えてくるだろう。
 科学のあり方の新しい可能性を切り開く作業への挑戦を、とくに若い科学者やこれから科学を志す人たちに期待したい。
 (岩波書店『科学』1999年3月号「市民の不安を共有する」より)


 ◆実際に世間で考えられているほどには、文科と理科の区別はない。科学にとって必要なのは基本的な飛躍のない理論的な考え方と、数量的なとらえ方である。あらかじめ理解しておくべきことは、そのような基本的な骨組みにすぎない。大事なのは、それらの方法的枠組みをどのような目的で、どのような問題の解析に振り分けるかということだ。
 (『市民の科学をめざして』 朝日選書1999年より)


 ◆高木学校には、いろいろな側面があっていいと思います。僕が希望するのは、お互い大いに厳しく批判しあって欲しいけれども、お互いにマイナスのカップリングにならずに、それぞれ別の方向性がお互いを刺激しあってプラスの方向に作用してほしいということです。そして、今の世の中を少しでも住みやすく、より良くしていくために、科学や技術が役に立つように、市民の立場からみんなが活動するような場であって欲しいのです。
 (第2回「夏の学校」2000年8月 の発言から)
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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