科学技術とキリスト教(2a)

 前回書名を挙げたものについて、もう少し紹介を続けます。

「岩波講座 転換期における人間」は、21世紀を目前にした時期に、「人間」の在り方が大きな転換を迎えつつあるとの問題意識において企画されたものであり、各巻に掲載された「まえがき」(「転換期における人間」編集委員)では、環境危機や核兵器などが示す科学技術の問題状況が強調されている。

「顕在化した科学技術文明の危機的な構造に直面して、知と文明の何らかの転換を迫られているという意味でも、そしてまた、学問・科学自身が大きな転換のうねりの中にあるという意味において」(iv)

 確かに、世紀の転換期を挟んだこの数10年においては、人間は大きく転換し科学技術のプレゼンスはますます全面化しつつある。3.11以降の状況における科学技術の問題は、長い人類史の中にその文脈としていることに留意しなければならない。

シリーズ・第6巻
『科学とは』
岩波書店、1990年。

序 いま「科学」とは(柳瀬睦男)

I 科学とはなにか
 1 科学の方法(吉田夏彦)
 2 科学史の方法(村上陽一郎)

II 科学とは人間をどのように見るか
 1 量子物理学の場合(並木美喜雄)
 2 エネルギー代謝の観点から(豊田利幸)
 3 認知科学の場合(戸田正直)

III 人間・社会の研究は科学か
 1 人間科学の可能性(河合隼雄)
 2 社会科学の可能性(鶴見和子)
 3 歴史科学は成立するか(山本達郎)

IV 科学者と社会(西島和彦)

V 科学のゆくえ
 1 ビックサイエンスについて──ひとつの試論(西川哲治)
 2 科学の多義性(渡辺慧)


 1990年のその当時の「科学」をめぐる議論の状況を、大家の域に達した方々が論じるという内容であり、やや懐かしい「古典的」テーマも見られる。これは、このシリーズの持つ「混沌の時代にあって生き方と価値観の指針を真剣に考えるための、確かに基盤として役立つこと」という提言的な性格による論者の選択によるものかもしれない。論者の世代が違えば、別の切り口も可能だったようにも思われる。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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