日本キリスト教史関連(1)

 先日明治学院大学で開催された日本基督教学会・学術大会については、すでに本ブログでも報告したが、第一日目午後の加山久夫先生の講演では、わたくしの研究にも関連のある文献が取り上げられ、その後その一部については、早速入手し目を通すことができた。
 
 学術大会とは、様々なレベルでの情報交換の場であり、今回のような文献の紹介はきわめて有益である。今回のブログではまず一冊目を紹介したい。

C.H.ジャーマニー(布施濤雄訳)
『近代日本のプロテスタント神学』
日本基督教団出版局、1982年。

『近代日本のプロテスタント神学』翻訳出版にあたって
はしがき
序言

第一章 一八五九年より一九二〇年にいたる日本プロテスタント神学の背景

第二章 近代における日本自由主義神学とその社会に対する関心
 海老名弾正(一八五六─一九三七年)
 大塚節治(一八八七年生まれ)
 賀川豊彦(一八八八─一九六〇年)
 近代における自由主義進学の社会との関連
 自由主義神学の衰退
 日本の自由主義神学の長所・短所

第三章 キリスト教学生運動と社会キリスト教

第四章 高倉徳太郎と聖書的福音主義の神学

第五章 弁証法的神学の台頭

第六章 戦時下日本神学の潮流

第七章 戦後キリスト教に対するチャレンジと神学ならびに教会の応答(特に日本基督教団との関連において)

第八章 日本神学の将来への課題

解説(佐藤敏夫)
訳者あとがき
人名索引

 本書は、1965年に出版された原著(Protestant Theologies in Modern Japan. A History of Dominant Theological Currents from 1920-1960)の訳であり、「解説」によれば、著者ジャーマニー(Charles H. Germany) は第二次世界大戦後に17年間日本で過ごした人物である。解説で佐藤敏夫が指摘するように、日本キリスト教史研究では、神学思想史についての研究はまとまったものとしてはほとんど存在しておらず、その点では、原著出版から何世紀が経過した現在も本書は重要な意味を保持し続けている(邦訳が遅れた事情については、「訳者あとがき」を参照)。

 この邦訳が出版された1980年前後は、わたくしはまだキリスト教思想研究に志して間もない時期であり(京都大学のキリスト教学専修の学部生であった)、日本キリスト教思想史などについては、土肥昭夫先生の研究以外はほとんど知らなかった。したがって、1980年代までの文献は、重要なものでも参照していないものが少なからず存在し(1990年代以降でもあまり大差はないかもしれない)、こうした時期の重要な研究文献の紹介を受けることは有益である。(1980年代より専門に学び始めたティリッヒについても、1980年代以前の文献で抜けているものは少なくない。この時期のティリッヒは、故熊谷一綱先生が収集された文献が関西学院大学神学部に寄贈されている。)

 わたくしが、このジャーマニーの著書で注目したのは、特に第二章の日本における自由主義神学をめぐる議論である(加山先生の紹介もこの部分についてであった)。海老名と賀川というラインをどのように理解し評価するのかという問題は、現代の日本におけるキリスト教思想の可能性を論じる上でも重要な意味をもつように思われる。

 なお、本書原著は、1965年の出版であり、その後の日本キリスト教とその神学の混乱については、論述が及んでいない。第八章の「日本神学の将来の課題」は、この長い混乱の後に、ようやく本格的な取り組みが可能になったと言うべきであろう。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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