国家神道とキリスト教

 国会神道との関わりが日本キリスト教史研究の基軸的な問題であるということは、これまで多くの論者が指摘したことであり、本ブログでも、繰り返し紹介してきた土肥昭夫先生の基本的主張であった。

 この10月23日に明治学院大学で、「信教の自由とキリスト教教育」と題された講演会が行われたことが、Christian Todayにおいて報道された。講演者は、陶山義雄(東洋英和女学院大学名誉教授)と、大西晴樹(明治学院学院長)の二人の方である。詳しい内容が紹介されているので、関心のある方は、ぜひご覧いただきたい。「国家神道=日本の民族的な固有の伝統」という議論は「過去の問題」ではなく、現実の高まりつつある動向であるならば、これに備えることは現実の課題である。

 最初の部分と最後の部分とを以下に転載します。

憲法第20条「信教の自由」は守られているか?

 日本国憲法第20条では「信教の自由」が保障されており、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と書かれてある。

 これに関して陶山氏は「国家や地方自治体によって信教の自由は随所で侵略されて来たが、日本国民の大多数はこれを問題にしないのはなぜであろう。日本人の多くは、宗教音痴なのである。宗教は身内や自分が死ぬ時にお寺に任せれば良いと考える程度で済ませている。無宗教であれば、国が神道形式で儀式をしようが、総理大臣や閣僚、国会議員らが靖国神社公式参拝をしようが、習俗としてこれを容認し、憲法第20条に抵触するとは考えない」と伝え、この様な社会にあっていかに明治学院が開学以来、信教の自由に奮闘してきたかを証しした。

 大西氏は今から24年前、昭和天皇の重病の折に、公的行事が中止され、テレビCMがサイレントになり、世間が「自粛」一色になったときに、当時の森井眞学長が白金祭を実施するとの声明を出したことを受け、学長はじめ、個々の教員宅に脅迫がなされた事件があったことを証しし、当時の事件を振り返り改めて「信教の自由、学問の自由」の大切さ、キリスト教を建学の精神とする学校の責務について伝えた。

・・・

天皇の神格化は過去の問題ではない

 その上で陶山氏は、「天皇を神格化する問題は、過去のことではなく、これからも起こり得ること。信教の自由の問題はあまり日本人の中で問題意識されていない。宗教に対する無関心の問題がある。宗教を日常生活に密着した仕方で理解していくことが必要。今秋も靖国神社に政府閣僚が参拝に行った。歴史認識の誤りを全く理解していない。このズレがものすごく大きい。昭和天皇でさえ靖国参拝には行かなかった」と指摘した。

 陶山氏は特に靖国参拝に行く閣僚が何らかの信念によるのではなく、「現在は日中韓関係が緊張しているから行かないほうが国益にかなう」など時宜的な対応をするに留まっていることにも懸念を示した。

 陶山氏は日本において信教の自由が守られているにもかかわらず、「個人の信仰とは無関係に宗教行事がなされるということは今後も起こり得る。天皇制そのもののもつ危機が今後もあり得る。日本人は先祖が神話的なもので植えつけられた『特別な民』であるという意識が今後も起こり得るということを十分気をつけていかなければならない」と述べた。

神ならざるものを神としてはならない

 大西氏は国家神道とキリスト者の関係について「『神ならざるものを神としてはならない』というモーセの律法に忠実に生きるというのが非常に重要なポイントである。そこに原点をおいて考えていかなければならない。神社がは政治社会の統合を促す「市民宗教」「国民宗教」であると言われることもあるが、『神ならざるものを神としない』という流れに立つのならば、(日本社会の中にあって)『新しい宗教』を作って良いのかということが問われる。「市民宗教」は見えざる宗教でなければならない。人間がどこかで神様をつくりあげてしまっていいいのだろうかる。これはキリスト教徒としては、見過ごしてはならない問題ではないだろうか。変えてはいけない基本的な問題というものがある。これが私達の根本になければ、キリスト教に立つ学校とは言えないのではないか。そこを意識しなければならないと思う」と述べた。
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