韓国と日本との関わり、キリスト教思想より(5)

 昨年からの続きとして、韓国と日本との関係性をめぐる文献を紹介します。キリスト教という視点からの韓国と日本の関係と言えば、次の徐正敏の著書は、当然紹介されるべきものの一つとなります(以前にも紹介したようにも思いますが)。

 徐正敏(1956-)は、日韓関係史の専門家であり、延世大学神科大学で教会史の教授として研究・教育に携わってきた研究者で、現在は、明治学院大学教養教育センター客員教授として来日中です。昨年7月には、かんよう出版から、著書『韓国キリスト教史概論 ―その出会いと葛藤―』が出版されました。本ブログでもしばしば取り上げてきた土肥昭夫に師事するなど日本との関わりは深く、2008年に同志社大学で神学博士の学位を取得しています。次の著書はこの学位論文をもとにしたものである。

徐正敏
『日韓キリスト教関係史研究』
日本キリスト教団出版局、2009年。

第1部 日本キリスト教史の理解
I 日本キリスト教史概観
 はじめに――日本の政治社会とキリスト教
 1.カトリックの伝来と受難
 2.キリスト教の受容環境と適応
 3.戦時下におけるキリスト教の歩み
 4.戦後におけるキリスト教の変化
 5.キリスト教と韓国問題
 おわりに――キリスト教の課題

II キリスト教の国会体制への適応過程
III 初期の神学思想史と自由主義の挑戦
IV 神社参拝問題とキリスト教
V 「日本基督教団」の形成過程
VI 戦前戦後におけるキリスト教の存在様式の変化

第2部 日韓キリスト教関係論
I 日本のキリスト教と「朝鮮伝道論」
II 日本のキリスト教と堤岩里教会事件
III 日帝下における朝鮮の教会に対する批判
IV 日帝下における日韓キリスト教の共通課題
V 日帝末期におけるキリスト教の受難――宗教間の葛藤
VI 日帝末期における「日本基督教朝鮮教団」の形成過程

第3部 日韓キリスト教の未来
I 和解と連帯
II 日韓キリスト教の歴史的比較と今後の課題
 はじめに――受容と展開過程の比較
 1.政治的状況との関係
 2.信仰的「内燃」をめぐる問題
 3.文化的一体感の課題
 おわりに――歴史的特性と今後の課題

参考文献
I 日本近代史、日本キリスト教史、日韓キリスト教関係史関連
II 朝鮮近代史及び韓国教会史関連

以上の目次においては、最初と最後の章は、節のタイトルも記載したが、他の章については、省略。

「このことは、日韓キリスト教に関しては、単純な比較にもとづく叙述では決して収まりきれないことをも意味しているといえよう。それほどに日韓関係は、あらゆる局面において相互の「関係」を考察しなければ理解できないような、密接な相互参与の歴史を有しているといえるのである。」(「あとがき」356頁)

 こうした相互参与の歴史は、キリスト教に止まらず、諸宗教・宗教文化の広範な領域にわたっている。その点で、本書と、次の文献(これも以前に紹介)をあわせて読むことが有益であろう。

李元範・櫻井義秀編
『越境する日韓宗教文化――韓国の日系新宗教と日本の韓流キリスト教』
北海道大学出版会、2011年。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR