脳科学と芸術

脳科学と人文学との接点をめぐっては、さまざまな思索・試みが行われている。宗教研究との関連における研究としてはすでに何度か取り上げてきたが、同様の問題意識は、当然、ほかの分野でも進行中であり、相互に参照すべきものとも言える。今回は、脳科学と芸術論との接点を模索する試みとして、次の研究論集を紹介したい。「はしがき」によれば、本書は、「国際高等研究所」で平成18-20年度に開催された「絵画と文学に表象される、時間と空間の脳による認識」研究会がもとになったとのことである。これまで本ブログで取り上げた文献もそうであるが、研究はいまだ途半ばであり、すべてはこれからと言わねばならない。

近藤寿人編
『芸術と脳──絵画と文学、時間と空間の脳科学』
大阪大学出版会、2013年3月。

はしがき
執筆者一覧

第1部 脳は時間をどのように記し、理解するのか
  1章 平安朝物語における時間の回想と語り手の多様な位置(山本登朗)
  Column 1:多様な過去の時制がもつ役割
  2章 歴史叙述・時間・物語──歴史はどのように書かれてきたか(小倉孝誠)
  3章 時空間記憶と夢の仮説(小倉明彦)
  Column 2:さまざまな記憶のかたち
  Column 3:記憶の種類と担当する脳の部位
  4章 仏教の時間論(佐々木閑)
  Column 4:仏教的カオス理論

第2部 脳による「もの」の記述と物語の表現
  5章 名前を「見る」と文字を「読む」──錯視の解釈学(手島勲矢)
  Column 5:ものの名前とは何かを問う詩人と詩
  Column 6:ものの名前とおばあさん細胞
  6章 絵巻の時間と空間の表現(若杉準治)
  7章 造形芸術と時間──古代南アジアの説話浮彫を中心に(肥塚隆)


第3部 絵画に描かれた、視覚の脳内機能
  8章 絵画の根源をめぐって(岡田温司)
  Column 8:非現実の空間を描く透視図法
  9章 色と質感を認識する脳の働き(小松英彦)
  10章 世界は脳が見ている(藤田一郎)

第4部 脳は世界をどのように見、そして自己を認識するのか
  11章 女性の身体と男のまなざし──一九世紀フランスは女性をどのように表象したか(小倉孝誠)
  Column 8:身体像の境界
  12章 自閉症から見る世界(北澤茂)

第5部 感覚がつかさどる世界
  13章 頭の中のサイン、コサイン──「波」による視覚情報の脳内表現(大澤五住)
  Column 9:聴覚のサイン、コサイン
  Column 10:脳のリズムと詩のリズム
  14章 三次元世界を見る(藤田一郎)
  Column 11:脳の機能の振り分け方
  15章 見続けるいうこと──アンドリュー・ワイエス(佐藤宏道)
  Column 12:線の画と面の画

結びにかえて 新しい芸術がはじまるとき(近藤寿人)

参考文献  
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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