人権と大学、そしてキリスト教

 人権思想は近代を特徴付ける思想の一つであり、大学教育でも重要な位置を占めている(占めるべきと考えられている)。また、キリスト教はこの人権思想と歴史的に密接な関わりを有しており、人権はキリスト教思想の観点からも重要なテーマである。このような点を確認した上で、宗教あるいは大学において人権がしばしば深刻な仕方で脅かされることになることも否定できない。長い人権教育や啓蒙活動の努力にかかわらず、人権がないがしろにする事例は後を絶たず、最近のちまたに溢れるヘイトピーチの傍若無人の悪のりぶりは世も末の有様である。何が間違っていたのか、人間は本質的に邪悪なのか、といった思いを排除することがいかに困難であるかがわかる。

 こうした中で、今年度は大学での人権関係の委員となり、また人権関係の授業にも関わることになった。人権について、考えを深める機会かもしれない。次の文献は、現在の日本において人権を考える上で、ぜひ一読をお勧めしたいものである。

田中宏
『在日外国人 新版──法の壁、心の溝』
岩波新書、1995年。

まえがき──新版にあたって

序章 アジア人留学生との出会い

Ⅰ 在日外国人はいま
Ⅱ 「帝国臣民」から「外国人」へ
Ⅲ 指紋の押捺
Ⅳ 援護から除かれた戦争犠牲者
Ⅴ 差別撤廃への挑戦
Ⅵ 「黒船」となったインドシナ難民
Ⅶ 国際国家のかけ声のもとで
Ⅷ 外国人労働者と日本

終章 ともに生きる社会へ

何をするにせよ、しないにせよ、まずは、現実を知ることから始まる。
聖書の中に寄留者への配慮の思想が流れていることは、一読程度ではわかりにくいかもしれない。しかし、ルツ記を見ればわかるように、寄留者への配慮から人権思想へ至る思想的な道は確かに通じている。

「23:22 畑から穀物を刈り取るときは、その畑の隅まで刈り尽くしてはならない。収穫後の落ち穂を拾い集めてはならない。貧しい者や寄留者のために残しておきなさい。わたしはあなたたちの神、主である。」(レビ記)

「23:9 あなたは寄留者を虐げてはならない。あなたたちは寄留者の気持を知っている。あなたたちは、エジプトの国で寄留者であったからである。」(出エジプト)


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