敵に脆い日本社会

 日本社会について、そのすばらしさを論じる場合、あるいはその問題点を指摘する場合、さまざまな形が可能と思われる。実際、ネットにはこうした言論が溢れている。そのなかで、キーワードの一つに「敵」を挙げることが出来るかもしれない。日本社会の敵、人類の敵、会社の敵、自分の敵、そして正義の敵などなど。そして、この「敵」への関わりにおいて脆さを露呈し、それが深刻度を増し、いよいよ分水嶺を超えるかに見える日本の現実がある。
 敵を作り出し、そこに暴力を集中することによって、はけ口をもとめる不満を解除・解消しようとするメカニズムは、古今東西どこにでも、近代日本においては特に顕著に見られる現象である。かつての(?)キリシタン、キリスト者へ、またかつてそして現在の在日外国人へ向けられるさまざまな敵を見る眼差し(しかも匿名の)。ここにあるのは、やや疎遠な人々への不安・違和感と自分を取り巻く状況への不満・鬱屈、そして少しばかりの身勝手な正義感であろう。この状況は、近年増幅されつつあり、その一翼を担っているのがネットとマスコミであることはおそらくかなりの信憑性のある事柄と思われる。ネットは適格な情報を早く伝える上で画期的なものであり、わたくし自身、ネットなしには研究も進められない(?)といっても過言ではない。しかし、ネットは多量の情報を届けてくれることによって他者について多く知った気にさせるが、それはさまざまな誤報やバイアスがかかっているのはもちろん、また疎遠な人々を身近な人々にしてくれるわけではない。むしろ、不気味な違和感はもしろ増幅されるかもしれない。ここに敵に脆い日本が存在する。

 以上、ながながと暗い話をしてきたのは、朝日新聞デジタルの次の連載記事を紹介するためであった。
4月28日より、連載の「敵がいる」である。
 これまでの記事は、次のようになっている。
・在日攻撃 牙をむく言葉(4.28)
・訪朝公演「空気読んどらん」(4.29)
・「北朝鮮」触れられぬ空気(4.29)
・「売国奴!」沖縄への理不尽(4.30)
・沖縄攻撃 ゆがみ増幅(4.30)
・監視強まる生活保護(5.1)
・「生保」受給者に不満の矛先(5.1)
・「加害者を潰せ」正義暴走(5.2)
・犯人探し、独善「無念晴らす」(5.2)

同じ日の記事の一方は、全文を読みのに会員登録が必要ではあるが、もう一つの方から内容は読み取ることはできる。これは、現実の日本の一断面ではあるが、急速に膨張し暴走しつつある。このリストに、近い将来(?)非国民キリスト教徒が入らないという保証はあるのだろうか。これは当面はオーバーな杞憂であるとしても、無視できない、責任的に関与すべき現実がここにあることは疑いない。
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