東アジアという問題設定

 最近は、さまざまな場面で「東アジア」という問題設定があふれている。わたくし自身、この手のフレーズがまだ定着していなかった(?)ころから、かなりこの問題設定を強調して用いてきた。本ブログもその一つである。もちろん、東アジアという設定はそれ自身の歴史を有しており、これは、東洋あるいは大東亜といった問題にも遡るものである。というわけで、「東アジア」という用語自体が、研究対象になるわけであるが、ここでは、最近手にした文献を紹介してみたい。テーマは経済統合の問題である。

川本忠雄
『東アジア統合という思想』
文眞堂、2013年3月。

はしがき

第1章 現代世界経済の基本性格
  I グローバルな世界市場の拡大・深化
  II 多極化と世界ノ融合化(特にアジア)
  III グローバル化の世界秩序と図輸送的なアイデンティティ

第2章 東アジア統合論の諸潮流
はじめに
  I 東アジア統合の諸見解
  II 東アジア統合論の基礎的考察

第3章 東アジアにおけるマクロリージョンとアイデンティティ──EU統合との比較の視点から
はじめに
  I ネーション、国民国家とアイデンティティについて
  II 2つの統合とマクロリージョン

第4章 東アジア海運と日本港湾の有機的ネットワーク──先進国が多幸湾政策への転換を求めて
はじめに
  I 現況の東アジアコンテナ海運
  II 韓国、中国の港湾政策の特徴と方向
  III 21世紀日本港湾の位置付けと港湾政策の転換

第5章 グローバルスタンダード下の日韓農業の現状と連携
はじめに
  I WTO体制とアメリカ農業法
  II 日本横行の現状と農業政策
  III 韓国農業の現状と農業政策
  IV 日韓FTAと日韓農業の連携

第6章 グローバリゼーションと地方の自律──日本の地方の現状と制度的枠組みを中心に
はじめに
  I グローバリゼーション下の地方経済の衰退
  II 地方の自律と制度的枠組みの模索

終章 人口減少社会の「衝撃」と地方の生存──「昭和幻想」からの脱却と地方のソーシャル・ネットワークの構築

参考文献・資料一覧
人名索引
事項索引

本書の特徴は、前半の統合論の整理分析というよりも、第6章の「地方の自律」についての具体的事例に即した分析にあるように思われる。地方経済圏が衰退しつつあるという現実をどのように分析し論じるかが、問われている。確かに、太平洋戦争後の昭和を前提とした枠組みが限界に来ていることは言うまでもないが、その先の展望が問題である。キリスト教も地方の問題が存在しないかのようなやり方を今後も続けるかが問われており、問題状況は類似している。キリスト教においても、「東アジア」は問題として意識されつつあるが、グローバル化だけを論じていればよいわけではない。     
 
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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